
オライリー・ジャパンから発売中の”Making Things Move―動くモノを作るためのメカニズムと材料の基本”では監修というかたちでお手伝いをさせて頂きました。
今回、このMaking Things Moveの刊行記念イベントとして「トークセッション&工作の休日」を開催していただいたのですが、工作の部とトークセッションの部と二部構成になっており、前半の工作の部でワークショップとして「DIYモーターを作ろう」を開催いたしました。
どんなものを作ったか、はこのムービーを見るとなんとなくわかると思いますが、とてもシンプルなモーターです。
残念ながらパワーもほとんどないので、これといって何か仕事ができるわけでもなく、自分自身が回り続けるのが精一杯、というモーターとしてはちょっと情けない存在ではあります(笑)
この「DIYモーター」は”Making Things Move”にプロジェクトとして作り方(日本語版 P100、「Project 6-1 マグネットワイヤで作るDIYモーター」)が掲載されています。再現として私も作ってみたのですが(表紙の下の方に写っています)、仕組みは簡単ですが、きちんと回るように仕上げるのはちょっと難しい部分もあるので、今回のワークショップでは15〜20分ぐらいで誰でもできるようにということでちょっとアレンジしてみました。
本書のプロジェクトで「難しい部分」は大ざっぱにいって二つあるのですが、一つが「コイル」でもう一つが「スタンド」です。
どちらもきっちりと形が定まりにくい材料と形状で調整がやっかいです。
このような不確定な要素が二つ重なるとどっちを調整したらよいのか、がとても分かりにくくなってしまうので今回のワークショップでは「スタンド」を3Dプリンター(MakerBot Replicator)を使って調整がなるべく必要ないようにしてみました。
3D形状を制作するCADには”Tinkercad“を使っています。ブラウザベースで使える三次元CADで、対応ブラウザであればインストールいらずですぐに使えます。

今回のDIYモーター用スタンドはデータをPublic(公開)としてありますので、よかったら自由にいじってみたり、プリントして作ってみたりしてみてください。
- DIY Motor Version 1.0 (編集にはアカウント登録が必要です)
Tinkercadでは3Dプリンターを持っていない場合でも、Ponokoやshapewaysなどの出力サービス会社に依頼して出力をしてもらうことも出来るようになっています。上記のリンクからDIY Motorのページに行くと「Print 3D」という青いボタンがありますが、そこからお好きな会社を選んで、という形なのですが、残念ながら国内でサービスしている会社はまだないので、出力そのものにかかるコストより送料のほうがずっと高くなってしまう場合もあるかもしれません。。。
(今回のトークセッションでも訳者の金井さんとそのあたりの話をさせて頂いたのですが、レーザーカッティングサービスについてはPonokoのデータでカットをして頂ける工房Emerge+のようなサービスも出てきているので、国内で気軽に3D出力が できるようになってくるといいですね)
3Dプリンターなどが手元にある場合には「Download STL」をクリックすることでSTLファイル(3Dプリンターや三次元CADで使われるフォーマット)がダウンロードできます。
デザインする上で考慮したのはだいたい以下の点です。
- 特別なテクニックなどなしに誰でも作れる
- 道具は最低限にする(荷物を減らすため。。。)
- 電池は単3電池(小さく作るため)
- 磁石は以前に購入して頂いたものがあるのでそれを使う
- なるべく小さく作る(大きいとプリント時間が長い)
1と2の二点をクリアするためにはスタンド側に目印となる印やガイドをつけておくこととにしました。また、他に使う材料(すずめっき線など)も予め必要な長さに切って持っていくように最初に決めておきました。
3と4についてはそれぞれ電池と磁石の形状をデータとして作っておき、それに合わせてスタンドのデザインを進めました。磁石は同じ物がいつも手に入るかどうかの不安もあるので後で変更も可能なようにしています。
5についてはもう少し効率よい方法があったかもしれませんが、今回は単3電池を使う、コイルは小さめにする、とスタンドそのものとは別の要素で小さくしてしまっています。
小さくする目的はプリント時間を短くするためなので、部品を分割したり組み合わせ方をもう少し考えても良かったかもと思っています。
なんどかプリントしては組立、の繰り返しでこれならよさそう、と思う形になったのが以下の写真です。
今回は20人分の材料を用意する予定だったので、あとは同じデータを「コピペ」して量産です。
私が持っているMakerBot Repicatorでは一回に9個までプリントができました。
まだまだ使いこなせていないともあって安全にプリントできそうなパラメータで出力しているので、スタンドを一つだけプリントするのにも約1時間かかっています。素材の強度やプリントの仕方、形状デザインなどの工夫でもっと短くはできると思いますが、3Dプリンター自体はまだまだ時間がかかるものと思っていていたほうがよいでしょう。
それでも9個同時だと、動きにムダが減るためプリント時間は9倍というわけではなく、実際には7時間30分ほどで終わっています。
あとは放って置いて、一回プリントが終わったらできあがりのスタンドを取り出して次のプリント、の繰り返しなので手間はあまりかかりません。
と、こんなプロセスを経てできあがったスタンドを使ってワークショップを開催しました。
今回は20人の方に作って頂き、無事全員がきちんと回るモーターを完成させて頂けました。
今回のDIYモーターをベースに次はもう少し「仕事」ができるモーターを作れるとよいだろうな、と思っています。
今回、訳者の金井さんが針金クランクおもちゃのワークショップをされていたのですが、モーターで回せたら楽しいよね、という話もあったので、ぜひトライしてみたいところです。


