ヘルパーディスク

私が日々の工作で使っているMakerbotの3Dプリンター、Replicatorで一番困るのがプラットフォーム上でプリント物が剥がれてしまうことでしょうか。
完全に取れてしまえばもちろんその後はグチャグチャのフィラメント雲(たとえばこんな感じ http://www.thingiverse.com/thing:44267 )ができて終わりですが、一見うまく行っているようでもプリント物の外角が浮き上がってきてしまうのはなかなか防げません。
ラフトを出した上にプリントするのでもよいのですが、プリント時間もフィラメントの消費も増えるし、底面の仕上がりも荒れるし、で私はあまり好きではありません。

【2013/4/26 追記】私は現在はABSしか使っていません。ABSは熱収縮が大きくて浮き上がりが発生してしまうようです。Replicatorで使える素材としてABS以外にPLAなどの素材もありますが、それらではこのような現象が発生しにくいものもあるようです。

その解決方法の一つとして、コーナーに薄い板を捨て出力してはがれにくくして後で切り取る方法がMakerbotのブログで公開されていました。
http://www.makerbot.com/blog/2013/04/19/keep-corners-flat-with-makerwares-helper-discs/
ヘルパーディスク、と命名されていますね。
コミュニティでは以前から知られていた方法です。他にもいろいろと対策は考えられていますが、私が試してきた中ではReplicatorだとこの方法はかなり有効でした。

https://tinkercad.com/things/5ZTm6Wnbtew-diy-motor-for-printing-1

私はだいたい大きくて直径20mm、厚さは0.5mm程度のヘルパーディスクをよく使っています。
MakerbotのブログではMakerWareの複数のSTLファイルを配置編集できる機能を使ってヘルパーディスクを付け加えていますが、私はReplicatorGを使っているので事前にCAD上でヘルパーディスクを付け加えています。

ヘルパーディスクは基本的にはプリント物のコーナーの部分に置いています。曲線の場合にはもともとはがれにくいこととコーナーデスクを置いてしまうと除去が面倒だったりするので置かない場合が多いです。
プリントが終わったらカッターで切り取るだけですので簡単だし、造形にもほとんど影響が出ないので良い方法ですね。

その他にもMake: Blogの「3Dプリンター初心者オーナーのための役に立つコツ」にいろいろ役に立つコツが紹介されています。
プリント物の剥がれ対策としてヘアスプレーを使う方法が紹介されていますが、他にもアセトンでABSを溶かした溶液をプラットフォームに塗る、カプトンテープの表面を紙やすりで荒らす方法などなどあり、それぞれ試してみましたが、ヘルパーディスクが一番カンタンで有効だと私は思います。

とはいえまず一番大切なのはプラットフォームの水平と適切なノズルとの間隔ではないかと思います。これが正しく調整されていないと他のどんな方法をとってもプリントの質は上がらないでしょう。
逆にこのプラットフォームの調整さえきちんとできていれば、他にはあまり対策を取らなくても綺麗にプリントが出来ることが多いと思います。

からくり人形「納曽利」

からくり人形「納曽利」
パラミタミュージアム(三重県菰野町)収蔵作品

からくり人形制作
木偶師二代目萬屋仁兵衛

自動演出動作機構(メカ、エレクトロニクス、ソフトウェア)設計制作
MechaRoboShop 岩崎修

この度、木偶師二代目萬屋二兵衛さん作のからくり人形「納曽利(なそり)」の自動演出動作機構の制作をさせて頂きました。
萬屋さんの制作されるからくり人形は伝統に忠実な極めて精巧な木工細工に鯨の髭のバネなどの機構を組み合わせた精緻な作品ですが、通常はお祭りなどの神事の際に、実際に人が下から糸を引っ張って操作するものです。美術館などに展示される場合にはなかなか実際の動きを見て頂くことができないのですが、この納曽利は自動で舞を舞う動作をさせる装置を制作させていただき、実際の舞をご覧頂くことができるようになっています。
これまでに萬屋さんと制作したことのあるからくり人形では、人形自体の内部に自動動作のためにメカを仕込む方法をとることが多かったのですが、今回は人形本体の内部にはメカを仕込むことをせず、人形自体は伝統的な構造と製法で作られています。自動動作のためのメカは人が糸を引いて演技する際と同様に舞台の内部に設置されています。
からくり人形自体は木で出来ていて、糸で引っ張る構造のため耐久性は現代的なメカには劣りますが、からくり人形本来のゆったりとした優雅な舞をご鑑賞頂くことができるようになっています(耐久性および美術館での展示のため、演出動作の回数は制限されています)。
一般的にからくり人形はお祭りの山車の高い位置に載った状態で演技をすることが多いので、なかなか近くでじっくりと見ることは出来ないのですが、パラミタミュージアムではほぼ大人の目線の高さでかなり近くから鑑賞することが出来るようになっています。
萬屋さんの人形はお顔がとても上品で表情を見ているだけでも楽しめますし、この人形のために特別に作られた精緻な刺繍がされた豪華な衣装も見所です。
ぜひ、機会がありましたらご覧頂けると幸いです。

トークセッション&工作の休日


オライリー・ジャパンから発売中の”Making Things Move―動くモノを作るためのメカニズムと材料の基本”では監修というかたちでお手伝いをさせて頂きました。

今回、このMaking Things Moveの刊行記念イベントとして「トークセッション&工作の休日」を開催していただいたのですが、工作の部とトークセッションの部と二部構成になっており、前半の工作の部でワークショップとして「DIYモーターを作ろう」を開催いたしました。


どんなものを作ったか、はこのムービーを見るとなんとなくわかると思いますが、とてもシンプルなモーターです。

残念ながらパワーもほとんどないので、これといって何か仕事ができるわけでもなく、自分自身が回り続けるのが精一杯、というモーターとしてはちょっと情けない存在ではあります(笑)

この「DIYモーター」は”Making Things Move”にプロジェクトとして作り方(日本語版 P100、「Project 6-1 マグネットワイヤで作るDIYモーター」)が掲載されています。再現として私も作ってみたのですが(表紙の下の方に写っています)、仕組みは簡単ですが、きちんと回るように仕上げるのはちょっと難しい部分もあるので、今回のワークショップでは15〜20分ぐらいで誰でもできるようにということでちょっとアレンジしてみました。

本書のプロジェクトで「難しい部分」は大ざっぱにいって二つあるのですが、一つが「コイル」でもう一つが「スタンド」です。
どちらもきっちりと形が定まりにくい材料と形状で調整がやっかいです。
このような不確定な要素が二つ重なるとどっちを調整したらよいのか、がとても分かりにくくなってしまうので今回のワークショップでは「スタンド」を3Dプリンター(MakerBot Replicator)を使って調整がなるべく必要ないようにしてみました。

3D形状を制作するCADには”Tinkercad“を使っています。ブラウザベースで使える三次元CADで、対応ブラウザであればインストールいらずですぐに使えます。

今回のDIYモーター用スタンドはデータをPublic(公開)としてありますので、よかったら自由にいじってみたり、プリントして作ってみたりしてみてください。

Tinkercadでは3Dプリンターを持っていない場合でも、Ponokoshapewaysなどの出力サービス会社に依頼して出力をしてもらうことも出来るようになっています。上記のリンクからDIY Motorのページに行くと「Print 3D」という青いボタンがありますが、そこからお好きな会社を選んで、という形なのですが、残念ながら国内でサービスしている会社はまだないので、出力そのものにかかるコストより送料のほうがずっと高くなってしまう場合もあるかもしれません。。。
(今回のトークセッションでも訳者の金井さんとそのあたりの話をさせて頂いたのですが、レーザーカッティングサービスについてはPonokoのデータでカットをして頂ける工房Emerge+のようなサービスも出てきているので、国内で気軽に3D出力が できるようになってくるといいですね)

3Dプリンターなどが手元にある場合には「Download STL」をクリックすることでSTLファイル(3Dプリンターや三次元CADで使われるフォーマット)がダウンロードできます。

デザインする上で考慮したのはだいたい以下の点です。

  1. 特別なテクニックなどなしに誰でも作れる
  2. 道具は最低限にする(荷物を減らすため。。。)
  3. 電池は単3電池(小さく作るため)
  4. 磁石は以前に購入して頂いたものがあるのでそれを使う
  5. なるべく小さく作る(大きいとプリント時間が長い)

1と2の二点をクリアするためにはスタンド側に目印となる印やガイドをつけておくこととにしました。また、他に使う材料(すずめっき線など)も予め必要な長さに切って持っていくように最初に決めておきました。
3と4についてはそれぞれ電池と磁石の形状をデータとして作っておき、それに合わせてスタンドのデザインを進めました。磁石は同じ物がいつも手に入るかどうかの不安もあるので後で変更も可能なようにしています。
5についてはもう少し効率よい方法があったかもしれませんが、今回は単3電池を使う、コイルは小さめにする、とスタンドそのものとは別の要素で小さくしてしまっています。
小さくする目的はプリント時間を短くするためなので、部品を分割したり組み合わせ方をもう少し考えても良かったかもと思っています。

なんどかプリントしては組立、の繰り返しでこれならよさそう、と思う形になったのが以下の写真です。

今回は20人分の材料を用意する予定だったので、あとは同じデータを「コピペ」して量産です。
私が持っているMakerBot Repicatorでは一回に9個までプリントができました。

まだまだ使いこなせていないともあって安全にプリントできそうなパラメータで出力しているので、スタンドを一つだけプリントするのにも約1時間かかっています。素材の強度やプリントの仕方、形状デザインなどの工夫でもっと短くはできると思いますが、3Dプリンター自体はまだまだ時間がかかるものと思っていていたほうがよいでしょう。
それでも9個同時だと、動きにムダが減るためプリント時間は9倍というわけではなく、実際には7時間30分ほどで終わっています。

あとは放って置いて、一回プリントが終わったらできあがりのスタンドを取り出して次のプリント、の繰り返しなので手間はあまりかかりません。

と、こんなプロセスを経てできあがったスタンドを使ってワークショップを開催しました。

 船田さん撮影
 船田さん撮影
田村さん撮影

今回は20人の方に作って頂き、無事全員がきちんと回るモーターを完成させて頂けました。
今回のDIYモーターをベースに次はもう少し「仕事」ができるモーターを作れるとよいだろうな、と思っています。
今回、訳者の金井さんが針金クランクおもちゃのワークショップをされていたのですが、モーターで回せたら楽しいよね、という話もあったので、ぜひトライしてみたいところです。

movie

未整理のムービーを取り敢えず置いておくエントリーです。。。


Making Things Move刊行記念イベント DIYモーターワークショップ解説

 


3D Printer (MakerBot Replicator) and Tinkercad with my kids.

 


2011「Crystallizing」 ライトモードアーティスト柏原エリナとの共作 work with Light Mode Artist Erinak Kashihara

 


2011「ヒダマリユニット」 玉川大学芸術学部メディアアーツ学科田中研究室(非常勤) 設計・製作指導を担当 work with Tamagawa University College of Arts

 


2010「Mysterious Night Flower」 ライトモードアーティスト柏原エリナとの共作 work with Light Mode Artist Erinak Kashihara

 


2010「Mysterious Night Flower」 ライトモードアーティスト柏原エリナとの共作 work with Light Mode Artist Erinak Kashihara

 


2010「Snow Flower」 ライトモードアーティスト柏原エリナとの共作 work with Light Mode Artist Erinak Kashihara

 


2010「Moonlight Jellyfish」 ライトモードアーティスト柏原エリナとの共作 work with Light Mode Artist Erinak Kashihara

 


2011「うごく!ヘンなあみもの」 編み師203gowとの共作 works with knit artist 203gow

 


2009 hanakometとの共作 work with knit artist hanakomet

 


2009 習作